なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

船越通信(491)

船越通信、№491 2021年11月14(日)北村慈郎

・ 7日の日曜日は永眠者記念礼拝でした。昨年同様今年も新型コロナウイルス感染予防のために、礼拝後の会食はありませんでした。その代わりにというわけではありませんが、今年は礼拝に出席された遺族の方々には、教会からということで、Nさんが用意してくれたお花を持ち帰っていただくことにしました。私も遺族の一人でしたので、お花を頂いて、鶴巻のマンションのリビングの一角に今月21日(日)に納骨する予定の連れ合いの遺骨と写真のところに飾らせてもらいました。

・ この日教会員を含めて遺族に当たる方の出席は、5家族6名でした。1年に一度、この永眠者記念礼拝にだけ出席される方もいらして、一年ぶりの再会を喜び、近況を語り合って散会しました。その後12月の役員会を行いました。この日の役員会は12月のクリスマスの準備がメインでしたが、特に12月24日夜の燭火礼拝をどうするかが問題でした。昨年は新型コロナウイルス感染拡大で燭火礼拝は中止しました。

  今年は10月はじめに緊急事態宣言が解除されてから、再拡大は抑えられていて、一日の感染者は全国でも200人台、東京や神奈川でも10人から20人台で推移していますので、役員会としては、今年は会食なしの燭火礼拝を12月24日(金)19:00から行うことにしました。ただ感染再拡大が起こった場合には、12月12日(日)の役員会で判断して中止することもあり得ることをお含みおきくださいますようにお願いいたします。役員会を終えて、私は来週の準備をして、午後2時ごろにまだ教会の裏崖で草刈りをしてくれていましたSさんに声をかけて、船越教会から鶴巻に帰りました。この日はバスで追浜に出て、京急→相鉄→小田急といういつものコースで帰りました。乗り換えも順調で2時間で家に着きました。杖を突きながらですが、大分歩くのも楽になって来ています。

・ 13日(土)午後1時半から蒔田教会で教区の宣教方策会議がありました。私はオリエンテーション委員会の委員長として出席しました。この宣教方策会議は毎年11月に開催されていて、この会議で次年度の教区の「神川教区活動基本方策案および活動計画案」と「各地区/各部・各委員会活動計画書案」が検討され、それを宣教部委員会が持ち帰って、12月の常置委員会に来年の2月総会の議案として提出することになっています。今年の宣教方策会議はあまり議論もなく、いくつか原案に対する修正加筆案がフロアーからでましたが、それを含めて宣教部委員会が持ち帰って検討することになりました。予定は午後3時半まででしたが、少し早めに終わりました。私はその後上大岡で夕食を買い、船越教会に来ました。

 

★ 斉藤幸平『人新生の「資本論」』⑭

・ 斉藤は、「拡張を続ける経済活動が地球環境を破壊しつくそうとしている今、私たち自身の手で資本主義を止めなければ、人類の歴史が終わりを迎える。資本主義ではない社会システムを求めることが、気候危機の時代には重要だ」と、資本主義では気候危機を乗り越えることはできないと言う。資本主義ではない社会システムとは、コミュニズムである。斉藤は、「しかし、コミュニズムとひとくちにいっても、さまざまなものがある。本書は、晩年のマルクスの到達点と同じ立場を取って、脱成長型コミュニズムを目指す」と言って、脱成長コミュニズムによってこそ気候危機を乗り越えることができると言う。2週間前に衆議院選挙があったが、私たちは選挙によって政治を変え、社会を変えていけると思っているかもしれないが、斉藤は、「選挙政治は資本の力に直面したときに必ずや限界に直面する。政治は経済に対して自律的ではなく、むしろ他律的なのである」と言って、議会制民主主義には限界があるので、「市民議会による民主主義の刷新」を主張する。斉藤によれば、「市民会議の特徴は、なんといっても、その選出方法である。選挙ではなく、くじ引きでメンバーが選ばれるのだ。ここに選挙で選ばれる国会との決定的な違いがある。もちろん、くじ引きといっても完全にランダムではなく、年齢、性別、学歴、居住地などが、実際の国民の構成に近くなるように調整される。/そして、市民会議においては、専門家がレクチャーを行い、そのうえで参加者は議論を行い、最終的には、投票で全体の意思決定をする。注目すべきは、2020年6月21日、ボンヌ環境相に提出されたフランスの市民会議の結果である。抽選で選ばれた市民150人は気候変動防止対策として、およそ150の案を提出した。そのなかには、2025年からの飛行場の新設禁止、国内線の廃止、自動車の広告禁止、気候変動対策用の富裕税の導入が含まれているのだ。さらに、憲法に気候変動対策を明記することや、『エコサイド(環境破壊)罪』施行について、国民投票の実施を求めた。市民会議の提案がここまでラディカルな内容になったのは、民主主義のあり方が抜本的に変容したという事実からけっして切り離せない。さらに、この変化をもたらしたのが、社会運動だったという点も強調しておこう」と言うのである。斎藤は、このようなアソシエーションが下から国家を突き上げて、アソシエーションの動きに国家を協力させる、あるいは「国家の力を利用できることを、この市民会議の試みは証明したのである」と言うのである(続く)。