昨日は一日のんびりと鶴巻で過ごしました。私のブログに掲載しています父の川柳の句を少し整理してみました。父の遺した作品ノートには重複して写している句が大分ありますので、出来るだけ二重、三重に掲載しないようにと思っています。
今回掲載する父の作品も既に掲載している句も入っているように思われますが、ノートに写しているものをそのまま掲載します。大分照合して明らかに前に掲載したものは割愛してありますが、同じ句でもノートによって微妙に違うものもありますので、明らかに前に掲載いたものと同じもの以外は、そのまま掲載することにします。
父北村雨垂とその作品(98)
こほろぎに 耳奪われて 聖書 置く
婦(おんな) 愚痴を 朝(あした) にも 夕(ゆう)べ にも
夏は 消えた 姙む婦(おんな)に 罪を見た
楽手の あの 白痴の猊を みろよ
いしくれよ 児の掌に 意味 生れる
佛像の胸を射る陽だ 節穴だ
街の祭だ 若者たちの 情慾だ
踊り児の 死んでゐる 人形の猊よ
深淵に 雲を浮かべて 母も児も なし
能面へ 吾が雑炊が在る 明日へ
霧の中に 消えてゆく 悲劇のリュック
雑草の芽だよ 姙んだ 土の悲劇だよ
悲劇の腹から 神様が 跳びだした
悲劇の舞台で 国際法とインクと インク消し
悲劇の子 負うて 太平の戦士 行く
笊のどぜうも ラッシュアワーだ 悲劇の科白
神様も 紙幣(さつ)も 悲劇だ 血みどろだ
星がいっぱい 涙を溜めている 悲劇
氷の中に 一冊の 悲劇と 白骨 と