なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

富と貧

★高校生からの質問 Part3★
「・・・自殺やニートなどは先進国に多いといいますが、なぜ人は物に富んでいる時は自分の人生を無駄にし、貧しい時は必死に生きようとする人が多いのでしょうか」。

日本の社会もこのところ自殺者は毎年3万人を下らないといわれています。ニートの人も多いそうですね。その原因の一つに「物に富んでいる」ということがあるでしょうが、ただ「物に富んでいる」というだけではないように思います。

富んだ社会でも生き生きと生活している人が多い社会もあるでしょうし、ニートになる必要のない社会もあるかも知れません。私は1941年生まれで、日本の敗戦後の食糧難の時代を多少経験した者として、今でも食べることには貪欲なところがあります。食料の無駄はよくありませんが、物に富んでいる社会は貧しい時代を経験した者にはまんざら悪いとは思えません。

問題は別のところにあるのではないでしょうか。たとえば金子みすずの童謡の一節のように、「みんなちがってみんないい」という、それぞれの差異を認め合って、しかも誰一人尊ばれない人はいない社会であれば、少なくともニートになる人はいないのではないでしょうか。いても大変わずかの人でしょう。

或いは、人々の中に分かち合い、支え合い、助け合う優しい思いがいっぱいあれば、自殺する人もニートの人もでないかも知れません。

確かに貧しい時は必死に人は助け合って生きます。1995年に起こった阪神・淡路大震災の直後から「復興?」までの間、ボランティアの人たちも沢山来てくれたし、被災者同士が助け合って、物も分かち合い、みんなが忘れてしまっていた人と人との絆の豊かさを経験したと言われています。でも「復興?」するにつれて、また元の状態に戻っていったといいます。

均一社会、競争社会の厳しさの中で、自殺者やニートの人が生まれるのではないでしょうか。お互いの差異が認められ、分かち合い助け合う社会であれば、そんなに自殺者もニートの人も出ないのではないでしょうか。

社会をよく知ることによって、どうしたらより良い社会を築けるか。ぜひよく考えてみてください。それも一つの生きる意味になりますよ!