なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

箱舟を作る

聖書の使信(メッセージ)癸掘

創世記のノアの洪水物語では、洪水による人類の滅びを超えて、神への応答の責任を負うべき人格としてノアが神によって選ばれます。ノアについては、6章9節で、「その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった」と記されています。神はノアに箱舟をつくることを命じます。そして神はノアと契約を立てます。ノアとその家族、そしてすべて命あるものの雄と雌二つずつを箱舟に連れて入り、ノアと共に生き延びるようにさせます。ノアはこの神の命令、戒めに従って行動します。

6章22節には、「ノアは、すべて神が命じられたとおりに果たした」と記されています。

そして、創世記のこの物語は、その後実際に洪水が起こり、すべての肉なるものは滅びます。ノアとノアの家族と、箱舟に連れて入った命あるものが生き延び、洪水後の水が引いた地上に、箱舟から出て生活するようになります。

さて、この一見滅亡がテーマのように思われますノアの洪水物語において、神の救いの行動はどのような形で現われているのでしょうか。

関根正雄さんの『創生時代講解』を読んでいて教えられたのですが、ヴェスターマンは「神の救済の行動はノアに向けられた命令ないし戒めの中で遂行される」と言っています。ノアに向けられた神の命令と戒めは、「箱舟をつくれ」ということであり、他の人々と一緒になって悪を行うのではなく、そのような人々から離れて自分に命じられた「箱舟をつくる」作業に邁進せよということです。

次に、ノアの行動に注目しなければなりません。世の人々が少しも洪水の将来を予想しないで勝手な生活をしている間に、ノアは神の命令と戒めに従って、箱舟を黙々と作り続けました。そのようなノアの行動が洪水の破滅を超えて、新しい人類と生き物の歴史を作り出すことに繋がったのです。

私たちにとりまして、この現代社会の中で「箱舟をつくる」作業に邁進するということは、どういうことなのでしょうか。私たちが、人々から離れてでも黙々と現代の箱舟をつくる作業に邁進し、未来に繋がる道を切り開いてゆくことができるとするならば、それ以上の幸いはありません。