なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(13)

 今日、昨日と横浜市都筑区のあゆみ荘でI牧師に誘われ、I牧師が設定した本田哲郎さんを囲む会に行ってきました。有意義な時をもたせていただき感謝です。以下「父北村雨垂とその作品(13)」を載せます。
 
父北村雨垂とその作品(13)
 
「私と いふもの」
 
画家よ 私なら 一切を 無色で描く
眞夜中を 歩く私の 自信めくもの
暗闇に 無限の無の 点に私
交叉した 限界のないふたつの円に 私を捜す
言葉と貨幣が 私を握ってゐた
悲劇のなかに 笑ってゐた 私
祈りとはなに 私は 数理の中
エロス 唯々 深淵の中の 私
 
胸の弔旗 永遠とは 私には無駄な 言葉
 
 
正午 (ひる)は過ぎた 街は発情した 土曜日
食堂に 撒らばってゐる顔だ 哲学無用
青年に 理智 見当らぬ 種牛の顔
おんなの歴史は 老廃物かも知れぬ
てんぐ茸 べにてんぐ茸 夜 咲く花
 
 
弁証の鐘を聴け 猫柳は聾
原色の夢 おんなの夢 白は矛盾
泣いた怯者が洪笑した 暗轉
愛人を殺すと言うか 純水は呑めぬ
理智 無智 狡智 植民地の 情痴
 
京都
(この「京都」は次の句を示しているものと思われ、全体の表題ではないと思います。)
沈々と 京都の夜の 生きてゐる ( あか ) ( し )
 
狂人に 水平線が ポキンと折れた
狂人は 夏の青空を舐めたくなった
狂人は 賽銭がばらばらと はいるではないか
 
碁石 漰れ 時間と空間も 沈黙
月を背に 私のメフィストフェレスと共に
白粉と フォークが眠る 氷河の夢
 
家を創る 己が獣身をみせる 家だ
風に泳ぐ 紙屑である ピエロ
淑女が往くよ 包装紙が 往くよ 
結晶の 分裂が 瞳におどる 夜だった
貨車は がたごと 霜はさらさらと漰れ