なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(19)

「分裂」というキイワードは、現代社会を捉える重要な視点のように思われます。以前に杉村昌昭『分裂共生論~グローバル社会を越えて~』を読んだことがあります。内容はほとんど忘れていますが、この本の題にも「分裂」が使われています。「分裂」は消極的に考えられがちですが、積極的な意味があるということでしょうか。或いは現実の根底を表す言葉として「分裂」がふさわしいということかも知れません。父の作品には、「分裂」という言葉がよく出てきます。以下「父北村雨垂とその作品(19)」を掲載します。
 
父北村雨垂とその作品(19)
 
「分裂 100句」
   ~形而上詩的にまた、ブロック風に創作したもの~
                       (続き)   
「風土」
 
郷土と私 嗅覚は母の父がある土
郷土と私 いらだつ狂気と花吹雪と分裂の合意
郷土と私 視覚に分裂の体系の集約の雲
郷土と私 炎帝の姙む怠惰と分裂の合意
郷土と私 聴覚に分裂の回帰の構造の風
郷土と私 銀鈴を振る虫と弧の分裂の合意
郷土と私 觸覚に父の母がある水
郷土と私 白刃を呑む忍苦の氷雪と分裂の合意
 
「種」
 
種と私 喜劇の胎動の否定の肯定の恐怖の分裂
種と私 無限の恐怖の孤獨の分裂の標識
種と私 同情と敵意の深淵に眠ってゐる実在
種と私 姙む意識の未分の分裂の揺籃の無の時間
種と私 系譜の轉きをエロスが密かに姙む空間
種と私 存在の憎悪の否定の肯定の姙む認識
種と私 悲劇の否定の肯定の静かな分裂の胎動
 
「道」
 
道と私 歩き歩かす風景の倦怠と希望の對立
道と私 宙天と地下へクレパスと定規の図式
道と私 水平を弧に描く存在の円環
道と私 戦争に平和に共に黙々と微笑と苦笑
道と私 擔う無用の知恵と握手したピエロの表情
道と私 生と死の寸劇を賭けた姿勢で挑戦
道と私 限定した無用と生理の中間の抵抗と握手
道と私 実存は二次元とみた無の円環の悲劇
 
「存在」
 
存在と私 回歸する分裂の認識といふもの
存在と私 さざ波の頂点に光る分裂の假装というもの
存在と私 以前と以後を構想する分裂の對立というもの
存在と私 白い毒薬に黒の標示をする恐怖というもの
存在と私 孤獨のそれぞれが握てゐる分裂というもの
存在と私 心臓は縦と横のクロスした点というもの
存在と私 分裂の辯證は丸い亀甲の図式というもの
存在と私 分裂した米麦獣果魚菜の意識というもの
 
「経験」
 
経験と私 舌に轉がず分裂の悲劇
経験と私 抽象の飛沫浴びる悲劇の心臓
経験と私 觸覚の生理と静かな分裂から明日
経験と私 黒い矛盾を天心に描く
経験と私 喜び悲しむ明日へ分裂のキャンバス
経験と私 場の限定がない悲劇の円心
経験と私 発情と孤獨が對談する分裂と分裂
経験と私 質量をみるエネルギーの夢