なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(18)

 昨日隠退しているK牧師から電話がありました。数週間前にK牧師が鶴巻のマンションに来てくださり、久しぶりに一局囲碁を二人で楽しみました。その時今度は、私のところから小田急で30分ほどのところにいますK牧師のところに私が行く約束をしていました。水曜日がいいということになっていました。私はまだ現役の牧師ですし、週の前半は鶴巻のマンションにいるとは言え、いろいろしなければならないこともありますので、K牧師との約束を覚えてはいますが、しばらくは難しいと思っていました。どうもK牧師は、私が連絡しないので電話をかけてきたようです。それが昨日の火曜日でした。今日の水曜日は、夕方から私と同じ秦野に住んでいますT牧師に誘われて、本厚木で活動している方をお訪ねすることになっていました。そのことをK牧師に話しましたら、その人は自分も知っているので一緒に行きたいということになりました。そこで今日は夕方から3人で本厚木の方が活動なさっているところを訪問することになっています。
 このような形のお付き合いは今までほとんどありませんでした。教会と私の日常生活は一体であって、自分のプライベイトな生活を区別することが難しかったからです。私もまた積極的に自分のプライベイトな生活を創り出し楽しむことをしなかったからかも知れません。この4月から、鶴巻に月曜から木曜午前中まで、船越教会に木曜午後から日曜日まで在宅するようになり、自分の生活が二つに分離しています。ですから、鶴巻にいるときには、自分のプライベイトな生活として、教会に関係する仕事もしますが、教会とは区切れた時間と空間にいるように思えます。これは、教会の中にある牧師館で週日生活していた今までの生活と比べますと、大変気持ちが楽に感じられます。不思議なものです。この体験からしますと、牧師館も教会の敷地の中にではなく、教会から離れた場所にあって、牧師家族のプライベイトな生活が保証されるような教会の形態が望ましいのかもしれません。
 さて今日は3人で夕方から楽しんできたいと思っています。
 以下、「父北村雨垂とその作品(18)」を掲載します。
 
父北村雨垂とその作品(18)
 
遠吠も 私のいのちも 夜に揺れる
一本の白髪 ぴたりと 夜具の褾
現にある風が 姿を まだ見せぬ
父をみた 夢に 革命児は 泣いた
いちまいの 中間 ( なか )を駆けるか 革命児
 
相手の缼けた定規だ 泣きなさい
メロンの香り 下水の メタンガス
納得の ゆかぬいのちに 落葉して
生きているとの 曲線じゃあるまいか
 
辯證の諸君 見給え 無精卵
 (この句が「父北村雨垂とその作品」(1)で紹介しましたように、川柳の本の中で北村雨垂の代表作とされている句です。)
 
「雨垂作品集=心=」と表題がついている随想日記帳では、以上の作品の後、相
の頁が空白になっていて、「父北村雨垂とその作品(8)」「私」という表題がつい
2句からはじまって、「時間と私」からはじまる「・・・・と私」という表題が「と私」が削
除されて「・・・・」だけになっている句が書かれている。その後また空白の頁があっ
て、以下のように再びほとんど同じ句が、「形而上詩的にまた ブロック風に創作し
たもの」という添え書きのある「分裂 100句」という表題にまとめられています。重
複するかもしれませんが、その「分裂 100句」を以下に掲載します。
 
「分裂 100句」
   ~形而上詩的にまた、ブロック風に創作したもの~
 
はじめのことば
 
無象の分裂の無形の結晶の意識の私
                                   (前の同じ句では「私の意識」になっています。)
無象の分裂の辯證の夢の円環の私
 
「時間」
 
私に分裂が分裂を姙んで時間に増減がない
私に分裂が有限の時間を無限の零に歩いた
私に分裂が永遠の点の時間の停止の期待した
私に分裂が心臓と時間の對話を聴いてゐた
私に分裂が回帰を企で時間の回帰を夢にみた
私に分裂が永遠の現在 ( いま )の時間を生んで殺した
私に分裂が時間の丸い分裂を心臓と共に語る
私に分裂が分裂を殺して時間に増減がない
 
「藝術」
 
藝術と私 現実は底邊も輪郭もないもの
藝術と私 太陽は西の果てから誕生するもの
藝術と私 ほんものの零は分裂して懐姙するもの
藝術と私 分裂が力の質量を計算するもの
藝術と私 坩堝の中の眞理は解体するもの
藝術と私 戦争と平和の悪は強く否定するもの
藝術と私 点と線の無は複数の分裂で存在するもの
藝術と私 泣いて笑って孤獨は誕生するもの
 
「神」
 
神と私 一握の質量の空白で心臓が巨視の歴史と妥協した
神と私 慈悲の無力を分裂の歴史が心臓と哄笑する
神と私 暴力の歴史を分裂が心臓に非合理の合理を聴いた
神と私 黒い欲望を心臓ガ否定の空白に夢を描いた
神と私 透明な力の衣裳で心臓の描いた空白にゐる
神と私 重い空白が無の分裂を心臓と共に聴こうとする
神と私 奇妙な変装の現実が心臓に悲劇を呑めと強要する
神と私 抽象の存在を楯に分裂が具象を心臓に語る