なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(103)

 今日も「父北村雨垂とその作品(103)」を掲載します。

              父北村雨垂とその作品(103)

     対流 4 発表

     らくがき

 赤ん坊も 母も みどりに 陽を浴びて

 かたくなに 椿が唄う 「原色なり」と

 欠伸(あくび)する 鷲と蛇とに 桜 散る

 折り紙は 無心で 神を 翻弄(ほんろう) する

 春は 銀に 雑木林の シンホニー

 滝壷も 知惠も 乱舞(らんぶ)に 舌を吐く

 青年の 蛾も 夜 犯(おか)すかや 合歓(ねむ)の花夜明(あ)け

 からかさの 思想をみたか 錦鯉

 まっすぐに 笑えぬ「人」を 持ち歩るき

 ソクラテスの虱も裸足 銀座の朝

 銀座の鶉(うずら) 新宿の鶉 夜孵(か)える

 沖を歩るく 女は胸に クローバを

 歩るくロゴスだ 紅衣に 青いマントの女(ひと) 

 幻影の 人追う 夜が 二時を 打つ

 能面の あわれや 獅子も 透きとほり

 乞食(こつじき)を 鵝(あひる)と山羊は 流し目に

 風化した婦(おんな)に 花も 眞珠も 在り

 ひとり泣く 渚が 月か 白きかな

 山上の弁証に 殺意 風に乗る



     対流 6 発表

 天才の血は 靜(おあ)かった「神」を創る

 万葉の婦(おんな)は 釣瓶(つるべ)にて 舌に

 風雪や 肋骨(あばら)浮かべた 野犬(いぬ)は 追われ

 忘却の 白き夢には プリズム を

 心臓のさざ波に 風 茫呼たり

 月月と 大地は 天にあり 神と

 東から 西と 私の打(ぶ)ち断(き)らる

 心臓と風が 明日を 組み立てる

 踊る砂漠の 風をみてゐる 獅子と駱駝

 キャンバスの風が えくぼを 描いて 消す

 潮騒(しおさい)とカンナが 夏を 回想する

 苔寺の苔に 佇(たた)ずむ 汗臭き

 優勝と 無残や 菊の 晒し首

 番犬は 数を見てゐた 冬の星