なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

黙想と祈りの夕べ通信(315)

 今日は「黙想と祈りの夕べ通信(315)」を掲載します。2005年10月ののものです。

 一週間先にはクリスマス礼拝です。先日友人から薦られて、豊田忠義『全キリスト教、最期の宗教改革

カール・バルト』という本を読みました。面白く読むことができました。この人は、バルトとともに吉

本隆明とミッシェル・フーコーを世界水準の思想家として見ているようです。私は、フーコーのことは全

くと言っていいくらい知りませんが、吉本のものは相当読んできていますので、私自身バルトと吉本には

何か共通するものがあるように感じてきました。バルトをそれなりに読んできて、いつもバルトの自由さ

を感じてきました。吉本にもその自由さがあります。多分両者ともに徹底的に考え抜いて真理に肉薄して

いるからだろうと思います。そして、絶対に人間にはその真理を所有できないという、自らの人間として

の限界性を踏まえているのではないかと思うのです。おそらくこの二人は、他者との関係において偉そう

にはふるまわないだろうと思うのです。すべて人間は真理を求める探究者として皆同等であるという、人

間としての節度を忘れることはなかったに違いないと思うからです。そういうバルトの教会教義学を、隠

退したらゆっくり読みたいと思い、紅葉坂教会を辞める時に、バルトの教会教義学のドイツ語版の欠けて

いたところを購入しました。邦訳版は全部揃っていましたので、ドイツ語版と邦訳版を並べて読んでみた

いと思ったからです。ドイツ語はすっかり忘れているのですが、隠退後の時間つぶしにはいいのではない

かという軽い気持ちからです。バルトの文体は、一文が関係代名詞でいろいろと繋がっていて長く、らせ

ん状に上昇していくようで、決して簡明ではありませんが、しかし、書かれている内容は単純明快に思わ

れます。イエス・キリスト(キリスト論的集中)しか書いていないからです。

 豊田忠義さんのこの本は、なかなか優れたバルト理解をしているのではないかと、読み終えて思わされ

ました。



         黙想と祈りの夕べ通信(315[54]2005・10.9発行)復刻版

 先日神奈川教区伝道委員会主催の開拓伝道協議会に出席しました。10月3日(月)に清水ケ丘教会が会

場で行われました。同じ伝道委員会主催の昨年の集会に参加した関係で、ある人からぜひにと言われて、

ちょっと気が進まなかったのですが、参加しました。この十年間に神奈川教区では7箇所で新規伝道が行

われています(「開拓」という言葉に問題を感じ、開拓伝道を新規伝道と言い換えている人もいます。神

奈川教区の今回の集会では、そういう問題意識は全くありませんでした。私の方から問題提起しようかと

も思いましたが、その機会がなく、だまっていました)。今回はその中の四つの伝道所、教会から発題が

ありました。それぞれの歴史、課題、展望のようなお話がありました。最初は横須賀の野比伝道所です。

E牧師がお話しました。野比伝道所は、1997年開設で、横須賀小川町教会の家庭集会から新規伝道を

はじめました。母教会である横須賀小川町の信徒の株分けは全くせず、ただ経済的には支援を受け、土地

建物を得ての伝道開始。この8年間で転入会者、受洗者(4名)で現在18名。E牧師は町内会長もしてい

て、コミュニティーチャーチをめざしているということでした。次に昨年開設したばかりの田園都筑伝道

所のことを、A牧師がお話しました。田園都筑伝道所は土地建物は田園江田教会が用意し、田園江田教会

から22名の現住倍餐会員、4名の未倍餐会員の株分けによって伝道所が開設されました。地下鉄のセン

ター南の近くで、典型的にかつての田園江田教会のようにベットタウンの人口密集地での新規伝道です。

すでに礼拝出席は30名とのことでした。ただ田園江田教会の信徒の株分けということで、70歳以上の

方が11名いらっしゃり、礼拝出席者をセンター南の駅まで車で毎日曜日迎えに行っているそうです。A

牧師は、教会の宣教には、ゞ飢颪世韻できる世に対する業、∪い里燭瓩砲垢覿飢颪龍函↓世と共にす

る教会の業の三つの働きがあるとおっしゃいました。また、港北ニュータウンのニューはいずれ古くなっ

てしまうが、聖書の黙示録が約束する「新しい天と地」の新しさは決して古くならない。その聖書の語る

新しさを大切にしていきたいと、抱負を述べられました。三番目は、都筑讃美教会について、S牧師から

お話がありました。都筑讃美教会も溝ノ口教会が土地を提供し、溝ノ口教会の新規伝道として開始しまし

た。S牧師は、.凜ジョンとして讃美、∩論瀚匯佞慮綰い量簑蝓↓7柀について語られました。現在

の都筑讃美教会の会堂は、S牧師の私財と募金によって建ったもので、そのためにS牧師は家を売ったと

いうのです。S牧師は60歳位までサラリーマンをしておられたそうです。最後はひの木教会について、

K牧師のお話がありました。ひの木教会は、歴史は長いのですが、1998年に教団に加入したところで

す。はじめに横浜明星教会の信徒が幼児教育を志し幼稚園を作ったのが1960年で、ひの木教会も38

年の歴史を刻んでいるとのことでした。幼稚園との関係を築きながら、独立した教会として立っていくた

めに、信徒の歩幅に合わせてゆっくりと取り組んでいきたいとおっしゃっていました。

 伝道委員会委員長は、このような伝道が教会本来の業であるかのように挨拶で言っていましたが、私は

もっと多様であっていいように思っています。社会的な運動や働きも教会の宣教の業の一環として考えた

いし、礼拝共同体としての教会とそのような運動や働きとに往還関係がもっともっと豊かになっていった

らいいなあーと思っています。