なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

夢と幻

ヨエル書3章1節に「老人は夢を見、若者は幻を見る」というよく知られた言葉があります。

高齢者が多く、若者が少ない教会の現実を嘆く方もありますが、私はそうは思っていません。先日も教区の常置委員会があり、会が終わって数名の方々と会食し歓談していました。その時、この教会の高齢化の話題がでました。ある方が、「教会の高齢化を悲観的に言われる場合が多いが、自分はそう思わない。むしろ、いいことではないかと思っている」とおっしゃいました。

その主旨を私はこう理解しました。高齢になると、誰もこの社会の第一線から退きます。それに付随して高齢者は社会のしがらみから解放され、自分がどのように生きるかを、誰にも遠慮せずに自分で決められる可能性が広がります。特にリタイア後の10年、20年の時間を彼ら彼女らがどう生きるかによって、むしろイエスの福音の証言において教会は大変豊かになる可能性が秘められているのではないでしょうか。

勤めている時にはできなかった平和運動や奉仕活動に生き生きと取り組む高齢者の存在は、寄せ場寿のボランティアの方々にも感じていますが、教会のそしてこの社会の希望のしるしではないでしょうか。 

ますます管理が強化され、共謀罪のような法律が成立すると、この日本の社会は形は違っても戦前のような全体主義的な社会になっていくでしょう。社会への適合への強制から自由な「夢や幻」は、いつの時代にも老人と若者に期待されているのかも知れません。