なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(71)

 今日は「父北村雨垂とその作品(71)」を掲載します。
             
                父北村雨垂とその作品(71)

   にんげん 藍 六号 1977年10月

 虫籠と 鬼の面だけ 淵に 浮き

 いづもる暗黒(よる)の海は 涙よ 友よとて

 哀愁の 百合(ユリ)は 溪間(タニマ)の エロスとも

 窓の障子に 秋 ピッタリと 家守の腹

 キャンバスの 五臓六腑は 紫陽花に

 私の風よ 汝 鎖のない 首よ

 象牙の数珠(ジュズ)も 十字架も 河も 流れ

 雲は風を シーレーノスの 酒に聴け

   
   道化師

 道化師に 遂々(とうとう) 拘引状が 来た

 群集の 髑髏(どくろ)に 踊る おまえは 道化師(ピエロ)

 いぱいに 夕陽を浴びた道化師は 泣かぬ

 プリズムの目玉が欲しい 私も 道化師(ピエロ)

 赤いテープだ 黒いテープだ 道化師だ

 カマキリの これも道化師(ピエロ)の 夫婦だな

 君も道化師(ピエロ) 僕も 道化師(ピエロ)だよ 道化師(ピエロ)よ


   
   正午   川研(川柳研究)発表

 群集の 悲劇が 正午の下に 喚(わ)めく

 正午 そのとき 別に驚きも しない

 宿命の正午が はっきり しない

 歩るく正午 夢も 正午を歩るこうとする

 追憶(ついおく)の足跡だ 私の正午だ

 虚構の苔が 私の正午の衣裳

 正午のあけぼの たそがれの正午が 自縛

 下降 上昇 なんと正午の うるさいこと


   青空の辻  川研

 青空の辻で 忘却が 背伸(の)びした 朝だ

 青空の辻で 忘却が 拒絶した 昼だ

 青空の辻で 忘却が 溶けた 夜だ