なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(83)

 今日はこれから神奈川教区社会委員会主催の「東に本題震災被災者支援」平和フェスタが神奈川教会でありますので、私も出席します。今日も昨日に続けて「父北村雨垂とその作品(83)」を掲載します。
 
                父北村雨垂とその作品(83)

   川研 321

 フラスコの中の 一個が 首を 擧げ

 死なぬ 鏡の 七日 七ツの穴で 死ぬ と

 天国と 地獄へ 埴輪(はにわ) 歩きだす

 病葉の自覚を 風と語る 静寂(しじま)

 山脈は 月に 孤獨を 盗(と)られたか

   
   川研

 棋盤(きばん)の 臍は マルクスを笑いブルドンを笑ひ

 花屋の菊が コックリをした 三文オペラ

 髭剃(ひげそっ)た 一個の やがて 横になる

 悪童に 首で構えた 迷子(まいご)の 蛇

 雑木林の マルクス レーニン 起ちあがる


   川研 323 1976年(昭和51年)11月

 白い時間は 亡母(はは)が 童話を 連れて来る

 ピストルと 手錠は 玩具屋(オモチャや)に あるよ

 脚速(あしばや)に 雲の迷児(まいご)は 泣きながら

 港の見える丘 十字架 たちくらみ

 黒い時間は 父が 童話を 連(つ)れて来る

   
   川研 324 1976年(昭和51年)12月

 牛小屋の 鶏卵(たまご)は 朝を まっさきに

 鉄鉢に 秋刀魚(サンマ)のけむり 雨宿り

 日比谷牧場(まきば)も 銀座の猫も 髭を 剪られ

 パスカルは 鏡の君を 葦と みたか

 ヒトデと 山羊と 時計の 不敵な 微笑


   川研 327 1977年(昭和52年)3月

 中野懐窓先生逝去を悼んで

 北風に 明日とささやく 葦なり と

 赫い夕陽に 泣かない葦の 黒い 屈折

 天眼鏡と御(お)座(わ)す 獅子座の俤(おもかげ)や

 懐窓佛 阿彌三佛やと 車椅子


   川研 328 1977年(昭和52年)4月

 懐中(ふところ)にあるプリズムの 泣く 笑う

 去来する 零時の窓に 腕時計

 子守唄(うた)や 古稀の涙の さめざめと

 脱落の人に 鏡の「私(ヒト)」を 描く