なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(100)

 今日は「父北村雨垂とその作品(100)」を掲載します。

 現在掲載している父の作品は、4冊目の父が遺した作品ノートから写しています。しかし、このノートには既に掲載した句が大分重複して記録されているようです。父は晩年、自分の作品をノートにまとめたようですが、一度まとめたノートの中にもれていた句を見つけると、またはじめから新しい作品ノート作り直したたようで、その際前の作品ノートに記載した句をそのままか、選択しなおしてかして書き写したようです。そのために数冊のノートに重複する句が多いのではないかと思われます。今回4冊目のノートで既に掲載してあるものを調べて、それは割愛するようにしました。それでもこれから掲載する句の中にも既に掲載しているものもあるかも知れませんが、その点はご容赦いただきたいと思います。           

             父北村雨垂とその作品(100)

    義兄佐藤梅栄の死 註妻貞子の兄  五句
    (この妻貞子が私の母です。五句と書かれていますが、以下は八句続いて記されています)
 
 とても治るまい 水薬 淡々と 匂ふ

 時を刺す ピンを探せと 血の叫び

 陽におどる 塵もいとしき 棺の まえ

 火葬場の 白いけむりに 飽かぬ 日ぞ


 せり なづな おたまじゃくしの 交響譜

 まっさきに春 雑草と 言わば 曰え

 純情な 口(くち)か 毒婦の 声か とも

 百舌(もづ)の声にも 直情の葦は 風をみた



     旅にでる 婦の影画~12句~
         ~ 春から秋へ ~  幻想作品

 春のつれづれや 小説と書いて 消す

 婦(おんな)は ひとり 体臭の みどり 濃(こ)し 

 ひら ひら はなびら 苦しいといふ婦(おんな)

 この恋や 梅雨(つゆ)の晴れ間に 月をみて

 婦(おんな)の 推理 と 弁明のほほえみと

 悲しきまでに 男は 停ちつくす 夕陽

 春 終る 婦(おんな) ひとり旅に 出る

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 胃袋が 洪笑した 舞台は 悲劇だよ

 腹の底から こみあげた 孤獨な 笑ひ

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 てのひらに踊る 髑髏の 五粒 ほど

 男と婦は 共に 孤獨を 抱いて 寝る


 もの言わぬ秋に 婦は 旅せんと す

                   完