今日は「父北村雨垂とその作品(199)」を掲載します。
父北村雨垂とその作品(199)
原稿日記「風雪」から(その20)
思想の自家中毒化現象を怖る
思想は人類にみがもつ一般生物から超出した文化現象を現出したと同時に当然の進化現象として物、
心、なる二面の分裂現象即ち唯物、唯心の両極に分解現象とでも云うべき状態を現出しつつある。私はこ
れの眞に憂うべき現象を決して自然現象と受けとる訳にはいかない。それは理性の欠如した非文化境位に
存在する野生人種と一線を画すべき文化人世界の未来を予想せざるを得ない。それは当然の事態として文
化人の理性の結集が右の様な「bチルスの生前増殖による自家中毒が」もたらす悲劇を絶対ゆるす筈が無
いと云う事を確信せらるを得ないからである。とは云うが、萬一にも斯うした不倖な事態が起こらぬとい
う保証は皆目見当たらぬことは余りにも悲劇であり、無慙である。物心両極の主義部属の反省を求めるや
切なるを各宗教家は如何に決断すべきかを一日も速やかに決し、世界の全宗教家の一団となって決断すべ
き事態を心から期待するものである。
1984年(昭和59年)7月27日
朱子学に於いて特に注目せねばならぬ事項に本編に於いて度々出て来る「気」に就いてである。即ち念
の為に付記して置くことにする。「気」は米と气から成ること而して气が音を表わし、人に送る意の語源
「饋」から来ている。気は饋の原字で人にくれる米の意、又は送る意、更に气と通用する。一説には米を
炊くときの湯气の意で气の別体の字という。字義は、 屬い」気息、▲ス―気体、6?屬砲△辰討
目に見えないもの、い海海蹐發繊嵜患ぁ廖↓イΔ泙譴弔「気質」、Δ△蠅気沺△もむき、気韻、万
物が育つためのおおもと、「元気」、風雨寒暑などの自然現象、「天気」、いきおい、力、活動力、
「生気」、こころ、意志、「気力」、一年を二十四分した一期の称、二十四気のこと、転じて「気
候」、おりふし、かぐ嗅、おくる、食物を送ること、餼
・・・・角川漢和辞典p.585より
こほろぎと婆の念仏に風の舞 1984年(昭和59年)8月1日
ハイデガーの命題として有名な「世界内存在」は彼も指摘してゐるやうに私は世界と内存在の間に社会
内を押入してこそ完全であると云えよう。しゃかいについてはハイデガーも精密な注意の基に粗細を云わ
す繰り返しているが、何故にあの命題に「―内社会内―」を押入しなかったのかに私は不思議に引っかか
るものがある。「世界内社会―内―存在」の方が吾々個の存在を安定的に承認できると考えられるのだ
が。
1984年(昭和59年)8月1日
十字架の 臍は 母なるanima(ヒト)(ヒトの証明)
十字架の 臍は 母なるanimaの証明(あかし) 1984年(昭和59年)8月4日
メロントその他 ソクラテスの空炭俵 1984年(昭和59年)8月26日
それが風景の 早朝(あさ)の銀座 同
寂(せき)と在り 昨日の人に 涙も枯れしも 同
俺は風だぞ 君も風だぞ なあ「犬(ポチ)」よ