なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

船越通信(477)

船越通信、№477 2020年11月29日 北村慈郎

22日(日)は礼拝後有志でアドベントの準備をしました。時の流れは何があっても止まってくれません。今年も29日の日曜日がアドベント第一主日になります。四週間後にはクリスマスです。一年一年クリスマスを迎える度に、その年の時代状況が重なってきます。今年は新型コロナウイリス感染により、船越教会ではイブの燭火礼拝を中止にしました。毎年船越教会のイブの燭火礼拝は、礼拝後に祝会があり、持ち寄りのご馳走を分け合っていただき、お酒を飲める方はワインで、飲めない方はジュースで乾杯し、一年でイースター礼拝とイブ礼拝のみ出席してくださる方がいますので、久しぶりの交わりを楽しみます。祝会では、特にクリスマスにかかわることはほとんどなく、世俗の会食と変わりません。強いて言えば、場所が教会の礼拝堂ということですから、雰囲気はお店での会食とはちょっと異なります。このイブの祝会も今年はできません。おそらく船越教会の歴史の中では、イブの祝会を中止せざるを得なかったのは、今年が初めてではないでしょうか。そういう意味で、今年のクリスマスは、祝会に代わって、それぞれ個別に、自分と神(イエス)との関係で、クリスマスの意義を再確認し、静かに祝いの時を持ちたいと思います。アドベントの準備を終えて、皆で集会室の机を囲み、お茶を飲みながらIさんが準備して下さった、船越教会がお世話になった牧師さんや遠の方、病気や高齢で礼拝には来れなくなっている方に出すクリスマス・カードに、それぞれ名前や一言添え書きをしました。それが終わって、午後1時頃散会し、いつものように私は来週の準備をして、午後2時少し前に船越教会から鶴巻に向かいました。午後4時には鶴巻の自宅につきました。

23日(月)には午後3時から蒔田教会で、教区主催の「教団機構改訂に関する協議会」がありましたが、この日は少し体調が落ちていましたので、無理せずにお休みすることにしました。この協議会のための資料「教団機構改定Q&A」によれば、教団は教勢と財政が落ちているので、それに見合った組織に改編するということす。教団総会と常議員会の人数をほぼ半減にし、教団の様々な働き委員会活動を教務局と伝道局の二局にまとめるというものです。この教団から送られてきた資料には、組織改編だけで、その前提になる現在の教団教会の教勢と財政の減少の分析と、教団教会の宣教の内容に関する検討が一切ありません。これでは財政が逼迫してきたので、それに見合った小さな組織にしようというだけの話です。現代の社会状況において、教団はどのような宣教活動をしていくのか、そのためにこれは削り、これは残すという視点が、上記の「教団機構改定Q&A」には全くないのです。今回の教区の集会でどのような話し合いがあったのかは分かりませんが、「教団機構改定Q&A」を読む限り、個別の教会はともかく、教団という全体教会の物質的、信仰的エネルギーの回復は、当分は見込めないということでしょうか。正反合という弁証法的な議論のない今の教団中枢に期待するのは無理です。ただ教えられた通りに与えられた解答を墨守し、反対者を切り捨て、自分の仲間内だけで生きるという資質の人からは、なかなか新しいものは生まれません。

27日(金)には、沖縄から一時帰ってきました牧師のK・Rさんが、お連れ合いのHさんと共に、連れ合いの千賀のことを憶えてくれて、お花をもって私の鶴巻の自宅を訪ねてくれました。ちょうどお昼時でしたので、鶴巻温泉駅近くの食堂からお弁当を買ってきて、お昼を一緒に食べながらしばらく話し合うことができ、少し元気をもらうことができました。12月3日が来ると、連れ合いが帰天して9か月になります。さびしい想いはなかなか消えません。最近再読していて発見した谷川俊太郎の以下の言葉に励まされました。「さびしいと感じる時、ぼくは孤独ではありません。ぼくはその時他の存在を予感し、さびしいと感じることでかえってそれらとむすばれているのです。」(『谷川俊太郎の 問う言葉、答える言葉』55頁より)

「人類の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため、ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツエンは、地質学的に見て、地球は新たな年代に突入したと言い、それを「人新生(Anthropocene)と名付けた。人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代という意味である」(p.4)。「本書は・・・マルクスの『資本論』を折々に参照しながら、「人新生」における資本と社会と自然の絡み合いを分析していく。もちろん、これまでのマルクス主義の焼き直しをするつもりは毛頭ない。150年ほど眠っていたマルクスの思想のまったく新しい面を「発掘」し、展開するつもりだ。/この「人新生の『資本論』」は、気候危機の時代に、より良い社会を作り出すための想像力を解放してくれるだろう(-p.7)。(以上斎藤幸平『人新生の「資本論」』より)

28日(土)は午後2時から蒔田教会で教区秘密保護法反対特別委員会主催の「黒川検事総長阻止から、検察庁の独立を守り、共謀罪等の廃止へ」というテーマで弁護士海渡雄一さんの講演会がありましたので、私も出席しました。海渡弁護士は三つのテーマで話してくれました。①「検察庁法改正反対運動の成果と今後の課題=検察官の人事に内閣が実質的に関与してはならないのはなぜか=-コロナ禍のもとでも市民の意見が政治の流れを変えられることを示したー」、②デジタル庁・一括法案の内容についての疑問=官庁の壁を破ってデジタルの省庁横断の共有化を実現し、プライバシーなき監視社会を目指す意図が見え隠れする=」、③「共謀罪廃止運動は監視捜査を監視する独立機関の設置を目指す」。何れも監視社会による民衆(国民)支配を目論む国家に、私たちがどう対峙していくかとう課題に関わる問題です。①のお話の中で、SNSに疎い私なので、「ツイートデモ」というデモがあり、その影響の大きさを知り驚かされました。