なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(4)

父北村雨垂とその作品(4)
 
 私は月曜から水曜日までは鶴巻にいます。鶴巻は鶴巻温泉という町で、昔は温泉宿がもっと多くあったのではないかと思いますが、今は3軒で、その他に秦野市が経営している日帰り温泉「弘法の里湯」があります。私は時々「弘法の里湯」に行っています。その他に前にもこのブログで紹介したことがありますが、私のいる鶴巻温泉駅の隣の東海大学前駅の近くに秦野天然温泉「さざんか」という日帰り温泉があり、昨日はそちらの湯でリラックスしてきました。さて父の作品の紹介を続けます。今回は「風」三部作と「富士」です。
 
       「風」・・・・・・三部作
風が時計の 振り子を笑ってゐる
風が魔法使の 手先を笑ってゐる
風が天才の 行為を笑ってゐる
風が貸衣装屋の そろばんを笑ってゐる
風が地球の 心臓を笑ってゐる
 
風が時計の ぜんまいと握手してゐる
風が魔法使の 道具と握手してゐる
風が天才の 感情と握手ゐる
風が貸衣装屋の 衣装と握手してゐる
風が地球の 觸角と握手してゐる
 
風が時計の 残骸に泣いてゐる
風が魔法使の ミイラに泣いてゐる
風が天才の 白骨に泣いてゐる
風が貸衣装屋の 破産に泣いてゐる
風が地球の 枯れた産毛に泣いてゐる
 
       「富士」
富士に愛着の 素朴な父と 祖母と
雄大な 単調をみろ 富士をみろ
黒いZ機も 富士は知らぬ気な 様子
でんとした 富士のおろかな 面構え
富士が ぐるぐる廻る グラス
 
感傷の大海原に 富士が 消えた
富士が 小さく見える クレーン
歴史の断層を 夏の富士に 見た
アポロンもゼウスも知らぬ 富士の風格
虚無には勝てぬ 富士の存在
 
富士は空虚に向って 大きな口を開けてゐる
紫の富士が 傳説を生んだ 夜明け
庭の鶏頭が 富士に背のびした
哀愁のない 富士である 死なぬ
富士に コンパスは要らぬ ドルも要らぬ
 
富士に 渦巻く風雲と 渦巻く思想と
富士をみろ 歴史を知らぬ 季節がある
富士も弦月も 沈黙の不安な 平和
富士は麓の現実を 否定も 肯定もしない
颱風が来るぞ 豪華な富士をみろ