なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

冷たい人の社会

★高校生からの質問 Part11★
「日本はなんでこんな社会なのでしょうか。冷たい人が多いんでしょうか?」

この質問には、心優しい温かな高校生の現代日本社会を憂える嘆きのようなものが感じられます。どうぞその想いはこれからも大切にしてください。

ただ人間の社会については、その社会がどのように出来ているのか、その仕組みについては冷静に考える力をつけていくことが必要でしょう。そのためには、「日本はなんでこんな社会なのか。どうして冷たい人が多いのか」という疑問をもったあなたは、自分なりに日本社会の仕組みや動きを、人の意見を鵜呑みにするのではなく、あなたなりに知る努力をすることではないでしょうか。

ある人は、社会を知るためには、何種類かの新聞を比べて読むことをすすめています。私はなかなか時間が取れませんので、新聞も一種類で拾い読みする程度ですが、できたらやってごらんになるとよいと思いますよ。

さてその上で、あなたの質問に私なりに答えてみたいと思います。現代の日本のような社会は高度消費資本主義社会などと言われます。高度というのは資本主義の発展段階を示すもので、必ずしも良い社会という意味で高度というわけではありません。産業革命以後の資本主義は現在までに形を変えて発展してきているのです。現在の日本では物を作る生産工場は原料と賃金の安い海外にほとんど移され、日本の中では消費に関わるサービス業が圧倒的に多くなっています。消費が中心の社会では人間は一人一人バラバラな個人にどんどんなって行きます。しかもこのような社会では人間がどう見られるかといいますと、お金を持っているかどうかなのです。

あなたが洋服を買いにお店に買いに行くとします。そのお店の店員はあなたがどんな人なのか、優しい人なのか、性格はどうかなどということには全く関心がありません。あったとしても、この人にどう商品を買わせるかというセールスのためにあなたの人間性を知ってそれを利用したいからでしょう。

そういう高度消費資本主義にある日本社会では、人と人との関係はどんどん個人化していき、それに加えて、このような社会ではありのままのその人ではなくお金があるかないかが人間の価値を決定していきますので、そういう社会の問題を理解して自分で人との関係を大切にしていく人でないと、人が冷たくなるのは当然なのです。

この日本社会を変えるには革命が起こらなければ難しいでしょう。革命は当分起こりそうにもありません。ですから、現代の日本の社会では人が冷たくなるのは、ある意味で当然であるということを認識して、あなた自身が、温かな人間関係を自分からいろいろな人と繋がって創造していくことではないでしょうか。