なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(3)

父北村雨垂とその作品(3)
 
       父の自筆による作品集は何冊もありますが、その中で『雨垂作品集=心=』と自らノートの表紙に記したものがあります。このノートに記されている父の作品を少しずつ紹介していきたいと思います。この父のノートには作品が書かれている前のページに五つの写真が貼り付けられています。最初には孫3人の写真です。私のすぐ上の姉の女の子と私の妹の子ども二人です・その二人は女の子と男の子です。姉の娘は高校生くらいですが、妹の二人の子はまだ幼児です。二番絵の写真は川柳仲間4人と父が写っていて、その写真の横には「東京大学三四郎池にて」と父の自筆で記されています。後は上の姉とまだ幼い妹が移っているものと、下の姉とやはり幼い妹が移っているものです。そして5枚目の写真は僕の妹が女学生の頃のもので、セイラー服を着きた妹一人の写真です。僕には兄がいますが、男の子供である僕と兄の写真はありません。僕たちは、姉二人は母が違います。兄と僕と妹は同じ母から生まれました。父にとって妹は一番下の子供で、年も離れていたこともあり、父は妹を溺愛していたと思います。
       さて最初の「父北村雨垂とその作品(1)」で紹介した作品が、このノートの最初のページに出てきます。『色彩から』という題がついている作品集です。
 
      スウイッチに紫光は 抵抗の意志でか
冬の汀に 青の孤獨と 白の孤獨
北風に 柿が 某戦犯の夢を描いた(これが既出の作品です)
ぼろ靴の 思想は昇天したよ 野菊
克明に 意識を消してしまった 夜明け
太郎は蒼白く 三郎は赫い肌
狂人の諸君と 分光器が呼びかけた
それぞれの 青に限界が来た 八月
強烈な悪意 カンナの 赤の 黄の
錫の色に赤銅の艶に こうろぎ を聴く
自殺と誕生が パレットの上で 舞踏
光琳の風格で 椿が咲いた
霞が 童話を聴かせてくれる 峠
原色の分裂が 明日の神話を 創造した
絵具皿が いきいきと 思想を伏せた
山は みどりの重量を 妊んだ五月
川面の 酔な 絣の赤い とんぼ
空は蒼い 無の箱は蒼いものか
雑草が十種で 青も十種だった
生殖も 腐肉も パレットに おどる
純粋な灰色に 梟が 鳴いた
街燈は 黄いろの沈黙を守る 夜あけ
紙幣は ざんぎゃくな表情だ 猫柳
 
どうぞ味わっていただければ幸いです。