なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(59)

 今日は「父北村雨垂とその作品」(59)を掲載します。以下の作品の中には、聖書から題材をとっている句が見受けられます。また、明らかに女性蔑視と思われる句もあります。後者の句もそのまま掲載しました。

                父北村雨垂とその作品(59)

 零の腹が 四方(あたり)を探がす へへののもへじ
 
 柳も 花も 笑え 見ろとも 見るなとも

 銀座の鶉(うずら) 新宿の鶉 夜 孵(かえ)える
 
 歩るくロゴス 紅衣に 青いマントの女(ひと)

 能面に あわれや 獅子の 透きとほり

 風化した女に 花も 眞珠も あり

 山上の弁証に 殺意 風に 乗る
 
 能面の やがて 孤獨が 火を噴くとき

 風雪や 肋骨(アバラ) 浮かべた 犬は 追われ

 忘却の 白き夢には プリズムを

 血と汗が 今日を未完を書き 終る

 弁証の歴史も 庭に 蕗の薹

 詩人ダビデは 太陽を摘む 路傍にて

 天井と壁に 昨日が確かに在る

 瞳を伏せて 泣かぬ豊かな乳房など

 ばらの舞 ヨハネの首は 母の希ひ

 目の底の底で鳴いてる ひきがえる

 突げきに構えた葦と 北風も終る

 吽々と露地の九官鳥と 白(びゃく)牛(ご)

 祖国孵へる夢を還らぬ夢に抱く

 禿(はげ)鷹(たか)の糞(ふん)は ニーチェ か 荘(そう)周(しゅう)か

 天命に 三日おくれて 爪(つめ)が死に

 鏡台の鬼(おに)と 昔をふりかえる

 園長の鯛(たい)に はためく 万国旗

 朝の小石 紫の意志 秋の妻子

 紫陽花の朝は 涙を風が拭(ふ)く

 地獄を駆ける 吾が能面を 鏡にて

 難破船は 陽を浴び 孤児は蟹とあそび

 青年の理智見当らぬ 種牛の猊

 女の歴史は 老廃物(はいぶつ) かも知れぬ