なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(104)

 今日は「父北村雨垂とその作品(104)」を掲載します。「詩人ダビデ・・・」や「・・・ヨハネの首・・・」の句からも、父は聖書を読んでいたようです。

            父北村雨垂とその作品(104)

     対流 癸掘“表

 月光や 落葉は 影と さまよえる
 
 春が 轉んで 駆けて来 老婆

 男の体臭(イオン) 女の体臭(イオン)が 熱い 対話

 血と汗が 今日を未完と 書き 終る

 弁証の 歴史も庭に 蕗の薹(とう)

 点滴の 現在や 十二時を 打つところ

 詩人ダビデは 太陽を摘む 路傍(ろぼう)にて

 天井と壁に 昨日が 確かに 在る

 瞳を伏せて 泣かぬ 豊満な 乳房など

 バラの舞(まい) ヨハネの首は 母の希ひ

 目の底の 底で 鳴いてる ひきがえる

 婦(おんな)の指よ 豚は 眞珠を 流し目に

 突撃に構えた葦と 北風(きた)と 終る

 吽々(こうこう)と 露路の 九官鳥と 白午


     対流 癸検“表

 討たんかな 昔は髭のあった 稲子

 祖国孵る夢に 還らぬ 夢に 抱く

 歴史の爪に 人臭き 月

 潮の底から ヒラメが睨らむ 月の破片(かけら)

 無限の億の 分母の 二十世紀の 神話

 法と書く指は 虚空を 突走り

 遺書と在り 一個の父母を もてあそび

 ぬくぬくと育ち 文化が 白くなる

 黄昏(たそがれ)や 猫の目脂(めやに)

 ふるさとの亡父(ちち)を鏡に なつかしや

 蒼い神の 白波を食(は)む 赫い嘴(くちばし)

 蒼空を歩るく神話に 砂時計

 東天紅も 天の岩戸も 背伸び して

 「世界」を消して「私」と書いて置く