なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

判決文(その2)

判決文(その2)

2 争点
(1) 原告が被告の正教師としての地位を有することの確認を求める訴えの適法性
(原告の主張)
ア 訴訟物である正教師の地位は、―蠡阿垢覿飢颪らの謝儀を受給する権利、⊇蠡阿垢覿飢颪遼匯婀曄‥銈傍鐔擦掘賃料相当額の保障を受けとる権利及び6技嫗狄η金への加入及び年金を満額受給する権 利という経済的利益を受ける根拠となるものであり、また、と鏐陲砲ける法人の役員ともいうべき役 職である常議員(被告の宗教法人としての実質的活動は、議決機関である教団総会及び常議員等の役職 にある者が意思決定をすることによって行われている。)に就任する権限、ト鏐陲糧鑛餝臀ゞ桔/佑如,△觜藩婪箒飢颪梁緝縮魄?銈涼楼未暴任する権限及びθ鏐陲料躄餤聴?糧鐐挙資格や教団・教区に おける教務を行う権限の根拠となるものであって、具体的権利義務関係が認められる法律上の地位であ る。したがって、正教師の地位を有することの確認を求める訴えは法律上の争訟に当たる。
イ また、原告が被告の正教師の地位を有する前提となる本件免職処分の無効事由は、次のとおりであ  り、本質的な争点につき、教義、信仰の内容に立ち入ることを要せず、法律上の争訟に当たる。
(ア) 本件免職処分は、処分の対象となった行為が特定されていない上、免職処分の根拠規定が不 明確である。
(イ) 本件免職処分に至る手続に重大な瑕疵がある。
  a 先行戒規申立てに加わった一信徒による本件戒規申立てを受理したことは、先 行戒規申立てが   無効であるとする被告の最高意思決定機関である教団総会の決議である先行無効決定を事実上潜脱   するものである。
  b 本件戒規申立ては、教師委員会の内規を改正したわずか18日後に受理されたも のであり、恣   意的に制度を改正した上で受理されたものである。
  c 教規上、戒規の申立権者は、教会担任教師を招へいしている教会又は教師の人事を掌る教区に属   すると解すべきところ、本件戒規申立ては一信徒によるものであり、教規に反している。 
  d 原告は、本件戒規申立てにおける戒規申立書の開示も受けておらず、申立理由も把握できないま   まであり、また本件免職処分までの間に弁明の機会を与えられていない。
(ウ) 本件上告における手続きは適正手続きを欠いている。
  a 審判委員が選出された常議員会の採決に、本件戒規申立を行った者やその賛同者 らが加わって   おり、委員が公正に選出されていない。
  b 本件上告において、原告は一切の陳述の機会も与えられず、代理人の選任も認められず、手続き   の公開の要請も斥けられ、実質的な不服申立権は保障されなかった。
(エ) 原告には、過去に戒規の適用を受けた前歴がないにも関わらず、いきなり免職処
   分とすることは、従前の戒規の適用事例との比較において、明らかに均衡を失しており、懲戒権の   濫用に当たる。
 (被告の主張)
ア 正教師の地位は法律上の地位ではなく、原告が被告の正教師の地位にあることの確認を求める訴えは 法律上の争訟ではない。
  教師は、「神に召され正規の手続きを経て献身した者:(教憲9条)であり、正教師は、「按手礼を 受領したもの(教規124条)で、正教師たる教会担任教師の教務は、「礼拝、伝道および信徒の信仰 指導」、「聖礼典の執行」、「結婚式、葬式その他の儀式」(教規104条)であって、正教師の地位 は、純然たる宗教上の地位に留まっており、正教師の地位によって、原告が主張するような経済的利益 を教授(享受の誤り?)するわけではない。
   ー婬啓?觚◆↓∨匯婀枦銈悗竜鐔擦蓮紅葉坂教会との間の一種の準委任契約関係に基づいて支払   われるものであり、被告はこれに何ら関与しない。G金の運用は、被告内部の年金局という独立   機関で行われ、任意加入であり、正教師の地位とは直接の関係になく、ぞ鏥聴?任、ス藩婪箒機  _颪梁緝縮魄?銈涼楼未暴任及びθ鏐陲料躄餤聴?糧鐐挙資格や教団・教区における教務を行う   権限は、正教師の地位に付随するものではない。
イ また、戒規とは、キリスト者の自己理解である「キリストの弟子」としての在り方、生き方への「訓 練」「規律」であり、その本旨及び目的は、キリスト者がキリストの弟子としての道に悔い改めて立ち 帰ること、すなわち復帰にある。戒規は、単に処分の結果のみを指すのではなく、戒規の申立から、処 分さらに復帰に至るまでの手続過程全てであり、いずれの段階も教憲、教規に基づく運用が行われる。 世俗における懲罰とは異質なものであり、手続き規定のみを取り上げて、これに世俗法における市民法 原理を適用して考えることはできない。したがって、宗教上の教義、信仰の内容に関わる教憲、教規の 解釈が問題となる以上、本件は、本質的な争点につき、教義、信仰の内容に立ち入ることを要し、法律 上の争訟に当たらない。
(2) 本件年金減額決定が無効であることの確認を求める訴えの適法性
 (原告の主張)
 本件年金減額決定の無効確認請求は、経済的損害を主張するものであり、訴訟物として法律上の争訟に当たる。
 また、原告は、前提となる本件免職処分が争点(1)における原告の主張イのとおり無効である以上、本件年金減額決定は根拠を欠く無効な決定であると主張するものであり、本質的な争点につき、教義、信仰の内容に立ち入ることを要せず、法律上の争訟に当たる。
ア 教師委員会による本件戒規申立の受理に至る一連の行為
  常議員会による先行戒規申立は申立人となり得ない者による申立てであり無効であるとする先行無効 決定があったにもかかわらず、何人でも申立人になれるよう教師委員会の内規を改正した上で、改正の 18日後に、先行戒規申立に積極的に関与した常議員らを申立人とする本件戒規申立てを、被告の一機関 である教師委員会が、被告の答申に反して受理したものであり、一連の行為は不法行為に当たる。
イ 本件免職処分に至る一連の行為
  本件免職処分に至るまでの間、原告は、反論の準備のために必要不可欠である本件戒規申立ての申立 書の開示を求めて来たが、被告は一貫してこれを拒否し続け、処分の根拠となった具体的な行為の時  期、場所、内容等の特定を伴う弁明の機会を与えないまま、本件免職処分を行ったものであり、適正手 続に従わずに公序良俗に反する態様で行われた一連の行為は不法行為に当たる。
ウ 本件上告における一連の手続
  本件上告における審判委員を選出する常議員会の採決には、本件戒規申立てに関わった特別な利害関 係人が加わっており、不公正な選出がなされ、このように選出された審判委員による審判を経て、原告 に陳述の機会を与えることなく、原告が要請した代理人の選任も認めず、手続の公開もせず、提出書類 等の閲覧謄写も認めず、本件上告を斥ける決定をしたものであり、適正手続きに反して行われた一連の 行為は不法行為に当たる。
エ 本件上告における一連の手続が違法である以上、これを公表する行為もまた不法行為に当たる。
 (被告の主張)
 争点(1)における被告の主張イのとおり、本質的な争点につき、教義、信仰の内容に立ち入ることを要し、法律上の争訟に当たらない。