なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

船越通信(329)

       船越通信癸械横后。横娃隠掲9月3日   北村慈郎

・2日(土)の「生前退位、何が問題か?」という天皇制を問う集会に120名近く参加者があったのは、

教区のヤスクニ・天皇制小委員会だけではなく、他の教区の数委員会の共催だったことと、日の丸・君が

代に反対する市民運動も共催に入っていて、教員関係の方々の出席があったからではないかと思います。

私は、この集会の最後の質疑を聞きながら、私たち日本人の中に天皇制を相対化するものが伝統的な文化

の中にあるのだろうかと考えていました。以前劇作家の竹内敏晴さんが、ある本の中で、天皇制を批判で

きるのは、仏教には期待できないが、キリスト教ではないかと思い、自分はキリスト教にエールを送る文

章を書いたこともあるが、現在のキリスト教にはがっかりしている、という主旨のことを述べているので

す。ちょうど2001年9月11日にニューヨークで起きた「テロ事件」の後ではなかったかと思いますが、ア

メリカ大統領のブッシュが、その後アフガン攻撃やイラク戦争に突入していく時に、「神」については言

うが、「イエスの十字架」については何も語らない、そのようなキリスト教への批判でした。そして、竹

内敏晴さんはアメリカのキリスト教を批判するだけではなく、日本のキリスト教も同じように見ていて、

「イエスの十字架」を語らない「神」のみを語るキリスト教の危うさを述べて、現在の日本のキリスト教

及び私たちキリスト者への失望を露わにしているのです。この指摘には、私たちキリスト者は真摯に耳を

傾けなければならないと思いました。天皇制の問題を扱うときに、天皇制を相対化する信仰的・思想的核

になるようなものが、私たちの中に存在するのかという問題です。人権思想にしても政教分離にしても、

キリスト教をベースにした近代ヨーロッパの社会から生まれてきたものです。そのような近代的な思想も

日本社会の中には入ってきてはいますが、例えば具体的な一人一人の人権を擁護し、政教分離の原則を貫

き、天皇制と対峙できるほどに、私たち日本人の一人一人の中に近代思想が根づいているかです。個々人

の人権よりも日本的な共同性に絡め取られる弱さが、私たちの中にはあるのではないかという問題です。

教会もまた日本的な共同性に絡め取られ、教会構成員としての信徒と教職の関係の中にも天皇制的な構造

が忍び込んでいるのではないかという問題です。天皇も一人の人間でから、天皇の人権も擁護されなけれ

ばならないのですが、天皇を私たち一人一人と全く同じ人間として考えることさえ、私たちキリスト者

中でも徹底されているとは思えません。イエスの十字架は、神の下にすべての人間は上下の別はなく、神

の被造物として同じ存在であり、赦されてこの世に共に生きることができることを示しています。お互い

は、他者である隣人を差別したり、その命と生活を収奪してはならないのです。助け合い、支え合い、分

かち合い、見えない神の愛に応えて私たちが互いに愛し合って生きることによって、見えない神の愛の証

言者として私たちは生きるのです。その意味で、キリスト教というよりは、聖書とイエスを主と信じる私

たちキリスト者には、天皇制を相対化して生きる基盤が与えられているのではないでしょうか。2日の集

会の最後の質疑の時間に、私はそんあことを考えていました。

・3日の日曜日は、この日ベルギーから一時帰国している紅葉坂教会オルガニストのAさんが船越教会の

礼拝に出席してくれましたので、突然でしたが、礼拝のオルガン奏楽を引き受けてくれました。礼拝後昼

食会があり、残れる方で親しく懇談の時を持ち、その後役員会を行いました。役員会では主に10月21日

(土)-22日(日)に予定しています秋の修養会の準備をしました。その後来週の準備をして、私は船越

を午後3時過ぎに出て鶴巻に向かいました。5日(火)は、15:30より教区事務所で「戦責告白50年を覚え

る記念集会」の実行委員会があり、鶴巻を14:00頃出て教区事務所に行きました。この日はこの実行委員

会の後、17:30~19:00に蒔田教会礼拝堂で第14回セクシュアル・ハラスメント学習会があり、その後常置

委員会が行われました。私は最後まで出席し、常置委員会が終わったのが22時を過ぎていましたので、い

つもの常置委員会後有志での会食は失礼して、鶴巻に帰りました。7日(木)は16:30より高座渋谷教会

で基地・自衛隊問題小委員会(基地小)があり、委員の一人として私も出席しました。オリエンテーショ

ン委員会との共催で、9月18日(月・祝)に船越教会で開催する「横須賀基地問題と海の監視体験」と、1

1月11日(土)紅葉坂教会で行う基地小独自の集会について、主に話し合い準備をしました。基地小では

毎回神奈川を中心とした米軍基地の状況報告があります。今回は特に厚木基地での空母レーガンの艦載機

訓練での騒音の酷さが問題になりました。また、自衛隊と米軍との一体化がさまざまなところで進んでい

ます。それは日本のアメリカの属国化が進んでいることを意味します。8日(金)は、寿の炊き出しの配

食に久しぶりに参加してから、船越教会に来ました。この日はまだ生活保護が支給されてから日が経って

いませんので、雑炊を食べた人の人数は少な目でした。