なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

食べて、寝て、遊ぶ

もう大分以前になりますが、滝沢克己さんの本を読んでいたときに、人間の幸福とは何かということで滝沢克己さんが「食べて、寝て、遊ぶ」ことだというようなことを書いていたのに、いたく感動したことを思い出します。
 
最近読んだ本の中に取り上げられていた吉本隆明の言葉も、滝沢克己さんとどこかで通低しているのではないかと思います。それはカール・マルクスについて書かれたものの中に出てくる言葉ですが、「市井の片隅に生まれ、そだち、生活し、老いて死ぬといった生涯をくりかえした無数の人物は、千年に一度しかこの世にあらわれない人物とまったくおなじである」という言葉です。
 
社会的な地位だとか名誉だとか、その人が何をしたのかという功績によって、私たちは人間の価値を判断しがちですが、そんなことは、一人の人間がこの世に生まれ、育ち、生活し、老いて死ぬということからすれば、取り立てて言うほどのことではないというのです。
 
もしそのような人間の人生の価値をみんな同じ価値を生きているのだということについて思い巡らすことができているとすれば、「社会的な地位や発言力をもつことよりも、自分が接する家族と文句なしに円満に、気持ちよく生きられたら、そのほうがはるかにいいことなのではないか」と言えるのではないでしょうか。
 
よく「自己実現」ということが言われますが、その大切さを知りつつも、何のための自己実現なのかよく考えて見る必要があるでしょう。