なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

牧師からの一言(その②)

 牧師からの一言(その②)
 
 聖書には現代人にも訴えるコトバ(言霊)があります。
聖書を読んでみますと、今日の高度に発達した科学技術や宗教とは直接関係しないかに見える世俗の世界、そして神から自由になったかに見える人間の合理的な思考によって生きる現代人にも訴えるものがあります。それは、エゴイズムや悪と知りながら悪に魅了されてしまう人間性の暗闇を、現代人と言えども古代人同様に克服できないでいるからです。古代世界と現代世界とでは、確かに人間が住む世界の環境や人間が手にすることのできる技術には格段の相違があります。しかし、その人間性においては古代人も現代人も全く変わりません。環境が世界大、いや宇宙大にまで広がり、人間の手にする技術が自らの生存を全て抹殺できる核を手にしている現代人の方が、その犯す悪も古代人の比ではありません。20世紀にどれだけの人や自然が人間が行った戦争の犠牲になったかを考えれば一目瞭然です。また、今回の東日本大震災による福島原発事故は、核と技術を誇る人間の驕りが引き起こした人災であり、改めて原発(核)と人間の技術の問題を根底から見直すことを強いられています。
 聖書は、そんな現代人に何を語りかけているのでしょうか。
 伝統的な宗教としてのキリスト教は、聖書から、癒しのコトバを語ってきました。病める者苦しむ者への救済としての癒しのコトバです。また、罪の贖いとしての赦しのコトバを語ってきました。それらに加えて、小さく細い流れではありますが、解放と和解のコトバを語ってきました。
私には、今日聖書から聞くことのできるコトバの中で最も大きいのは、解放と和解のコトバのように思われます。人間性の暗闇を抱えた私たちがそこから解放され、イエス・キリストを仲立ちとして過渡的に実現している神と人、人と人、人と自然との和解に基づく「神の国」の住人として、未来の和解の完成成就としての「神の国」を希望しつつこの世の人生を全うする道を、私たちに示しているからです。
今の世界に絶望している人、自分の人間性に絶望している人、現代社会の矛盾に絶望している人、とにかく今生きることに絶望している人は、一度聖書の語りかけに耳を傾けてみませんか。また、刹那を楽しんでいる人も、自分の足下に広がる人間の現実に応答する聖書の世界に触れて見ませんか? 
私は、現在日本キリスト教団船越教会(℡:046-861-6861)に木曜日夜から日曜日教会行事が終わるまでいます。船越教会の日曜礼拝(午前10:30より)で私も聖書の解き明かしをしています。よろしかったら、船越教会の礼拝にいらしてください。それほど自信があるわけではありませんが、聖書のコトバが現代人の私たちにも希望を与えてくれることを、私なりに証言させていただいています。