なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(11)

父北村雨垂とその作品(11)
 
「空間と私」
 
私に 分裂の化石が 空間に化石の歴史を描いた
私に 分裂の意識が 空間の意識と 合意した
私に、分裂の圚歸が 空間に 私の圚歸をこうていした
私に 分裂と分裂が 空間に悲劇と喜劇を姙んだ
私に 分裂の離脱と共に 空間が離脱した
私に 分裂の透明と不透明が 空間を證明した
私に 分裂の各々が 空間の無限の圓に修正した
私に 分裂が空間の在り方を 互に證明した
 
私に回帰は 分裂が假装して来たもの
 
私に 終焉のない分裂が圚歸のない海に消える
 
「小説」
 
菜の花に かかる おとめを 創造す
純情か 無智かや ころころと 球は
女は語る 稚く吾れ あまえたし
現実が 生む 不自然な芽を 愛す
情熱の 無言を聴けり エーテル
 
こころそも何 亡き母を 汝に乞う
なんなの と 真珠の笑靨 失なへり
おとこのことば おんなのことば 火を宿す
反省を越えた世界で 雌雄 二個
酒とろり 常識の泡 すでになし
 
馬鹿なことと 恋あり 吾は偽はるや
純情か、恐怖か 会うことの傷き
鉄壁の 無限を中間 ( なか )に 甲と乙
一切は 逢えた事実が ほほえむよ
おぼろ月 おんなの肩が かく見ゆる
 
情熱に 美しき日と みにくき日
愛すれど 触れまじとなり 瞼閉づ
人倫 (みち)日(?)えば 肩をたたけば おんな泣く
絶対の世界を描いておけ 涙
口唇 (くちびる)に 母乳 ( ちち )の香りを 現在もおけ
 
あす逢える 別れに 何の淋しさか
悪魔かくて 日記におどり 一頁
さまよえるいのち はらはらと 秋は
涙腺のない 人形の知性かも
夢消える さうして夜も 消えてゆく
 
おんな 笑う ひとときのこと 地もわらう
美しき苦悶を抱ゆ 二個の魂
陽を射るな 慰え 男女 ( ふたり )は 泣いてゐる
いしくれに 恋の苦悶を 聴かせよう
契り得ぬ恋 青空に 泣けといふ
 
エルテルに 泣きあかしたり 君わらう
盲くめる愛 君と裁る こころ枯る
夢のせて ?に近づく 笹舟か
 (?は判読が難しく、不明)
ひとりゐる 苦しき夜なり  ( た )ちあがる
いしくれの如く すべてを失うか
 
別るるや 西と東は 遭う日あれど
もの すべてふたつ並ぶに 吾がこころ
草も木も むかしを冬に すすり泣く
追憶をいれる 容器 ( うつわ )は 円錐か
歸り来ぬ おんなへ 郷愁か 愛は
逢う日去り 憂愁ひとり 現在を追う
 
まぼろしの 女は去りがたき 風情
点の如く 線の如きか 夢の性
ひと 敗る 一片の葉と 恋は地に
脳漿沸り 男とて 笑いけり
死と對す 向うの丘に 子等 遊ぶ
ひと空し 恋愛むなし 錆たペン
花粉と雄蕊 珠玉と黄金 相似たり
在りし日は 地に夢 いまも 新しい