なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

黙想と祈りの夕べ通信(311)復刻版

 今日は黙想と祈りの夕べ通信(311)復刻版を掲載します。2005年9月のものです。

 昨日から今まで、一泊ででかけていましたので、今日のブログの掲載は今になってしまいました。下記

通信で記されています「教えられなかった戦争」シリーズを作っていた高岩仁さんは、既に天上の人にな

っています。このシリーズの沖縄編は、阿波根昌鴻さんが中心に描かれていました。二つの映画に私は大

変衝撃を受けました。

 また、下記通信に出てきますKさんは、先日帰天されて紅葉坂教会の葬儀が行われました。私は前夜式

に出席してきました。この通信の頃、すでにすずかけ台老健に入所していたということは、Kさんが自

宅での生活から老健など病院やホームでの生活に移られてから、帰天されるまで、80歳を過ぎたころから

92歳まで、約10年の時間があったということです。


        黙想と祈りの夕べ通信(311[-50]2005・9.11発行)復刻版


 高岩仁さんという方が責任をもっています映像文化協会というところで、「教えられなかった戦争」シ

リーズという16mm映画を撮っています。最近そのシリーズの第5作「中国編」(侵略からの解放・革命)

が完成し、9月9日に青葉区公会堂で上映会が行われました。私はこの日、田園都市線すずかけ台駅から

東工大の裏手に当たるところにあります老健施設にいますKさんを訪問してから、同じ田園都市線市ヶ尾

駅から10分ほどのところにあります青葉区公会堂に駆けつけました。上映会は18時開始でしたが、5

分ほど遅れて始まりましたので、1,2分遅れて到着した私もはじめから観ることができました。この映

画はほとんどが中国人と日本人の戦争体験者の証言によって構成されています。一人一人の証言はそれぞ

れずしりと重くあります。その中でも特に衝撃を受け印象深かったのは、一人の中国人の証言と二人の日

本人の証言でした。二人の日本人の一人は男性で戦犯として中国の戦犯管理所での経験がある方です。も

う一人は女性で、戦後中国の八路軍に加わった経験がある方です。一人の中国人の証言は日本軍兵士によ

る中国人女性の強姦についての証言です。日本軍兵士は、未婚の女性を次々に強姦していき、未婚の女性

がいなくなると、既婚の女性もその対象にしていったと言い、その一人の女性を日本軍兵士が公衆の面前

で強姦し、殺害した様子を、その中国人の証言者は満身の怒りを込めて話しました。ここにその証言の内

容を書くことはできません。余りにもすさまじいからです。上映会の会場で私の前に座っていた女性は、

その中国人の証言が日本軍兵士の残虐な行為に触れるたびに、嗚咽のような叫びを上げ、会場が会議室で

したので自分の前の机をこぶしで叩いていました。それまで睡魔と闘いながら映画を観ていた私は、この

中国人の証言で一辺に睡魔が飛んでしまいました。それほど衝撃的な証言でした。その証言を聞く限り、

決して作り事とは思えませんでしたので、事実の証言だと思います。略奪や強姦を欲しいままにした日本

軍兵士とは対照的に、毛沢東率いる八路軍の兵士は服装も装備も貧しかったそうですが、農民に対する姿

勢や態度は大変謙虚で誠実だったと、上記の日本人女性は証言していました。中国農民と八路軍の兵士は

共に中国を解放するために闘うのだという心の紐帯が強かったので、兵士が農民から略奪するなどという

ことはなかったと言うのです。日本人の女性証言者は、自分が八路軍に協力を求められて加わり、その八

路軍の倫理性の高さに感動したということを話していました。同じことは、戦犯として中国の戦犯管理所

に入れられた日本人男性の兵士の証言にも伺われます。戦犯管理所での学習を通して、なぜ戦争が起こる

かが段々分かってきて、自分たちが天皇のために、お国のためにと戦ってきたことが、いかに愚かなこと

であったのかに気づかされていったと、その証言者は話していました。戦犯管理所に収容された日本兵

犯は無期懲役にも死刑にもならなかったと言います。八路軍の思想は、日本軍兵士たちは間違った思想に

よって戦争にかり出されたのであって、正しい思想を持てば、平和のために働くことができるという、個

としての日本人に対する将来の可能性を信頼していたのでしょう。また「貧しいことは恐ろしくはない。

不公平こそ恐ろしい」という思想が八路軍の人たち全体にいきわたっていたというのです。解放後中国人

民衆には家族の人数によって土地が公平に分配されたと言います。最初期の中国共産党がいかに中国民衆

の心をつかんでいたのかということがよく分かります。

 この映画の上映は、10月1日(土)13時15分開場で新横浜にあるスペース・オルタで行われます。関心の

ある方はいらっしゃってください。