なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

黙想と祈りの夕べ通信(373)復刻版

 黙想と祈りの夕べ通信(273)復刻版を掲載します。2006年11月のものです。

   
       黙想と祈りの夕べ通信(373[-8]2006・11・19発行)復刻版

 
 今日の聖書箇所ルカ福音書17章20節以下に神の国についてのイエスの言葉があります。「・・・実に神

の国はあなたがたの間にある」(21節)です。イエスの時代のユダヤ人の中では黙示思想の影響があり、

どちらかと言いますと神の国についても将来にやってくるものと信じていました。このルカの箇所でファ

リサイ派の人々がイエスに「神の国はいつ来るのか」と尋ねたとありますのも、そうした彼らの信仰の表

われです。しかし、イエスは、「神の国は既に到来して実にあなたがたの間にあるのだ」とおっしゃった

というのです。通常現在終末論と言っていますが、これは、考えてみれば既に神の国は今ここにあり、そ

神の国の歴史の展開が神の御業として遂行されているということを意味します。イエスはそのように信

じそのように現在を生きたのだと思います。現実の世界は日本においても世界においても神の国とは程遠

いどころか相反するとしか思えません。そういう現実世界に生活している私たちは、それでもそこで神の

国を生きていくのです。イエスが十字架にかけられたように、神の国に生きる者はこの世では敗北を強い

られるのかも知れませんが、その敗北が未来を拓く命と光となっていくのではないでしょうか。最近私の

中にはそのような思いが強くなっています。

 上記の私の発言に続いて、一人の方からの発言がありました。先週息子と買い物に行き転んでしまっ

た。足、肩、肘を痛め、恐い思いをした。でもこうして教会に来れることは感謝である。12日の日曜日に

教会に出席できず、テレビを観ていたら、教育基本法憲法をめぐる与野党の討論があったが、不快感を

持った。でも結局政府の方向に変わってしまうだろうか不安である。話は変わるが、自分では感じていな

かったが、自分の朗読への姿勢が周りの人を元気付けていることを知り、嬉しかった。幼い子どもに読み

聞かせしえいるが、体力は衰えて行くが、子どもたちと共に成長していきたい。出来ることは何でもやっ

ていきたい。転んだことも悪くなかったのかもしれない。体力の衰えを感じながらも、元気でいられる幸

いを感じた。

 また別の方からの発言がありました。神の国の話が先生からあったように、現状は神の国から程遠い状

態である。いじめのことが今問題になっている。いじめには個人、階級、国によるいじめがある。いじめ

がないことが神の国ではないかと思うくらいである。自分も小学生の時にいじめられた体験がある。しか

し、教会学校にはいじめがなく、そのことが教会に導かれるきっかけとなり、現在まで教会生活が続いて

いる。いじめを意地悪とすれば、自分の中にも他者への意地悪があるように思う。またいじめの積極的な

形は搾取、略奪、支配とも言えよう。どうやって社会の中からいじめをなくしし神の国を実現するかは、

教会の使命ではないかと思う。

 続いてもう一人の方の発言がありました。今いじめの話があったが、今日教会の方と話していて、やは

りいじめの問題が出た。彼女は日曜学校は大丈夫ですかと心配されていた。教会で子どもたちと出会って

いる時は、親御さんたちが一緒にいらしているのでなんとなく安心している。しかし地域の子どもたちの

ことを考えると苦しんでいる子が身近にいるのかもしれないと心が痛む。国会前の座り込みで日の丸のこ

とが話題になった時、ある方が「日の丸の赤い色は何の色、わが息子の血の色よ」という文について新聞

に投書をした。するとその人の子どもさんが学校において先生からレッテルを貼られ、いじめに会い、性

格が歪んでしまった。そのためカトリックの私学に転校した。するとそこでもいじめに会った時校長(神

父)がいじめた子を教えてほしいと言われ、拒否したら、「いじめる子も可哀想な子です。救ってあげな

ければ」と言われたという。自分自身も小学校の時いじめに近い体験をしたが、日曜学校に通っていて祈

ることが出来、乗り越えることができたことを思い出す。いじめる人もいじめられる人も救われるために

教会が聖書から力を得、命を落とすことが起らないよう道を示すことが大切だと思う。

 もう一人の方からも発言がりました。現在神の国は遠い気がする。昨日佐渡島に住む友人の牧師と電話

し、彼女の深い失望を思いめぐらした。彼女は、佐渡の美しい妙見山の頂上に防衛庁の強力なレーダー施

設を作るという計画が進められ、反対している。自然破壊、強力な電磁波の人体への影響、税金の無駄遣

い、有事には標的とされる危険性。仲間が集まり、勉強もし、新聞にも反対声明、市長への公開質問会開

催要求などの活動をしている。島民の6割が反対している手応えがある。しかしどんなに住民が反対して

も、強硬にこの計画は推し進められるとも聞いている。彼女の重苦しい失望と無力感に心が沈み、痛む。

米軍再編、基地問題自衛隊問題、すべてがつながっており、たちうちできない強力な悪魔的力を感じ

る。私たちには小さな声をあげることしかできない。たとえ小さくてもその声が集まってうねりとなった

ら、何か変えられるのではないかという希望を捨てたくない。全国でがんばっている方々の活動のノウハ

ウを彼女に伝えてみようと思う。今はバラバラだが、やがてそれらの人々がつながっていき、神の国が私

たちの只中に実現していくことを祈りつつ思いめぐらしていた。