なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

言わねばならないこと(東京新聞)

 集団自衛権の行使の範囲について、政府は「存立危機事態」ということで、どんどん拡大解釈を

してるように思われます。かつて日本が犯した戦争による罪責をどう考えているのか。先日帰天さ

れたヴァイゼッカー大統領演説「荒れ野の40年」での有名な言葉、「過去に目を閉ざす者は結局の

ところ現在にも盲目となります」を、安倍政権には噛みしめてもらいたいものです。このヴァイゼ

ッカーの演説の最後のところを引用しておきます。

 「道徳に究極の完成はありません~いかなる人間にとっても、いかなる土地においてもそうであ

ります。われわれは人間として学んでまいりました。これからも人間として危険に曝されつづける

でありましょう。しかし、われわれにはこうした危険を繰り返し乗り越えていくだけの力がそなわ

っています。

 ヒトラーはいつも、偏見と敵意と憎悪とをかきたてつづけることに腐心しておりました。

 若い人たちにお願いしたい。

 他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。

 ロシア人やアメリカ人、

 ユダヤ人やトルコ人

 オータナティヴを唱える人々や保守主義者、

 黒人や白人

 これらの人たちに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。

 若い人たちは、たがいに敵対するのではなく、たがいに手をとり合って生きていくことを学ん

でいただきたい。

 民主的に選ばれたわれわれ政治家にもこのことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい。

そして範を示してほしい。

  自由を尊重しよう。

  平和のために尽力しよう。

  公正をよりどころにしよう。

  正義については内面の規範に従おう。

  今日5月8日にさいし、能うかぎり真実を直視しようではありませんんか。」 

 以下は東京新聞に掲載された俳優の宝田明さんの文章です。

 東京新聞 2015年3月3日朝刊

            秘密保護法 言わねばならないこと 集団的自衛権 39

 宝田 明 「恨み買い民も戦火に」

 集団的自衛権を行使して、わざわざ外国に出かけて米軍の軍事行動に協力し、相手の恨みを買う

必要はない。確かに国家は丸裸でいるわけにはいかないが、防衛に徹すべきだ。

 こちらが聖戦だと言っても相手も聖戦だと思っている。戦争は戦闘員だけの戦いではなく、無辜

の民を戦火に巻き込んでしまう。

 小学五年のとき、旧満州中国東北部)のハルピンで終戦を迎えた。旧ソ連軍が侵攻してきて関

東軍は武装解除。民間人は無政府状態の中に放り込まれた。自宅に押し入ったソ連兵に頭に銃を突

きつけられた恐怖や、同じ社宅の奥さんが暴行されるのを目撃した嫌悪感は絶対に忘れられない。

 ソ連兵に短機関銃で右腹を撃たれ、元軍医が焼いて消毒した裁ちばさみで傷口を切り開き、弾を

取り出してくれた。麻酔もなく、痛みのあまり握り締めたベットの柵が曲がった。戦後、ロシアの

素晴らしい映画やバレエを見ても、吐き気を催すほど許せない気持ちが沸き起こる。

 傷つけられた相手への恨みは一生消えない。私は助かったが、愛する家族や友人を殺された人の

恨みはもっと深い。逆に、自分が傷つければ相手の恨みが残る。「やった」「やられた」が繰り返

されていく。戦争とはそういうものだ。

 昨年の衆院選の公示翌日、NHKの情報番組に生出演した際、発言をアナウンサーにさえぎられてし

まった。戦争は絶対にしてはならず、国家が間違った選択をしないよう国民は選挙で意思を示すべ

きだ、と話す途中だった。さえぎられた真意は分からないが、戦前のように、言いたいことが言え

ない暗い世の中に戻ってほしくない。