なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

船越通信(422)

船越通信、癸苅横押   。横娃隠糠7月28日   北村慈郎


・21日の礼拝には新しい初めての方が出席しました。この方は横須賀の衣笠の近くに住んでいて、礼拝

の報告の時に自己紹介してくださいました。自己紹介でこの方は「船越教会の前の道路を通る度に、ご自

分の親戚の人が以前に船越教会にいたことを親族から聞いていていたので、ずっと一度礼拝に出たいと

思っていましたが、今日来ることが出来ました」とおっしゃいました。そこでその以前に船越教会にいら

した方のお名前はとお聞きしましたら、船越教会の第一代目の棚山六三郎牧師ということで、特に古い船

越教会のメンバーの方々は棚山牧師のお子さんたちの記憶もあり、その日礼拝に来られた方と話が盛り上

がりました。船越教会50年誌に棚山牧師の写真も載っていましたので、その方に一冊差し上げました。


・礼拝後懇談の時におにぎりをいただき、この日は12時30分より、平和と人権を考えるDVD鑑賞会(宮古

島からのSOS)がありました。ご存知の方も多いと思いますが、宮古島伝道所には数年前に戸塚教会の牧

師であった尾毛佳靖子さんが牧師となって行っています。坂口聖子さんも宮古島伝道所の担任教師です。

つい先日7月14日(日)には宮古島伝道所と八重山宮古宣教センター献堂式がありました。その宮古島

自衛隊の基地が作られています。しばらく前に住民には何も告げずに、その自衛隊基地の中に弾薬庫を

つくっていたということで問題になりました。「2019年御嶽(うたき)(島民の心の拠り所、平安を

祈る所)が壊された。島民は怒った。形ばかりの御嶽が残った。その周辺には、地対空ミサイル基地、弾

薬庫、強力なレーザー基地などドンドン作られていく。基地はいらないと平和を願う島民の心まで踏み壊

して。」(チラシより)。まさにDVDは「宮古島からのSOS」を意味していました。


・前週の船越通信にも書きましたが、「神奈川の『占領軍慰安所』」の講演者いのうえせつこさんは、

「現在の日本は既に戦争下ではないか」と言われましたが、同じことを最近読みました『辺野古弁証法

~ポスト・フクシマと「沖縄革命」~』の著者山口泉さんも同書の中でこのように述べています。「現

在、日本は『戦後』でも、新たな『戦前』でもない。すでに確実に新たな、また最後のそれともなるやも

しれない『戦中』にある。/そしてこの『戦争』は事実上、2011年3月11日に始まり、急速に顕在化して

きたものなのだ。」と。この一節は、山口泉さんのブログ『精神の戒厳令下に』(2015年2月13日09時53

分)にあるもので、その文章全体の表題は「人生で、これほど暗澹たる時代に遭遇することになろうと

は」です。その最初の書き出しは、「人生で、これほど暗澹たる時代に直接、遭遇することになろうと

は、うかつにも予期していなかった。いや、より厳密にはその『暗澹』の質と規模が、いままで想像して

いた一切を上回る凄まじさで現実の風景となっている事態に呆然としている、と言うべきだろうかー。/

2011年3月11日から始まった絶望的な時代は、いよいよ本格的な破滅へと地滑り的になだれ落ちてゆくよ

うだ。いかにしてそれを押しとどめるか。焦慮に駆られつつ、不意に全身の細胞が慟哭するような思いに

も涵(ひた)される。」と。


・山口泉さんは東京電力福島第一原発事故後の日本の絶望的な状況を「本格的な破滅へと地滑り的になさ

れ落ちてゆくようだ」と言っています。また、「現・安倍晋三内閣は、明らかに『開戦』を視野に入れた

それである。そして、そのことがこの政権における、『戦後』類例を見ない、空前の極めて高い危険性で

ある。/忌憚なく言うなら、相手が誰であれ、場所がどこであれ、なんら構わないー。ともかく現行『日

本国憲法』を踏み躙り、戦争に突入すること。その一点のみが、ア・プリオリに、一義的に自己目的化し

た政権としての相貌を、安倍晋三のそれは露わにしつつある。集団的自衛権の容認とは―自衛隊『海外派

兵』恒久化とは、『周辺事態』の拡大解釈とは、そしてアメリカの先制攻撃への追随とは、すべてそうし

たことではないのか」とも述べています。


・このような「絶望的な現状」を背景として、「宮古島からのSOS」を受け止めなければならないのでは

ないでしょうか。山口泉さんは東電福島第一番発事故後、東京での生活に見切りをつけて、沖縄に移住さ

れました。そして「ヤマトンチュとしてのもろもろを含みながらも、自ら選択した沖縄県民という立場に

おいて、私の選ぶべき道はーこれまでもそうであったようにーはっきりしている。/私は沖縄に生きる一

人として、日本政府の圧政に対する、沖縄の思想的・運動的抵抗に、ますます全面的に参与し、連帯す

る。/これは、ファシズム人間性との闘いなのだ。/沖縄に移住してーいま、沖縄県民であって、良

かった」とも述べています。


・私たちは、山口さんと同じように沖縄に移住することはできませんが、「ファシズム人間性との闘

い」に、自分が置かれ、自分が選んだ場で参与していきたいと思います。現在が「戦中」であり、「戦時

下」であるとすれば、私たち一人ひとりが、そして私たちがそのメンバーの一人である教会が、かつての

ように戦争協力に組み込まれていくのか、戦争に対する明確な否をもって生きるのか、その二者択一の前

に立ち、後者の道を一歩でも切り拓いて行くことができますようにと願わずにはおれません。


・この週は月曜日から土曜日までずっと鶴巻にいました。そこで前々から連れ合いから言われています、

本で一杯の私の部屋にベットが入るようにするために、近くのトランクルームを借りて、本の整理に手を

付け始めました。自分の終活の一環として、必要最低限の本は部屋に残し、後は一般書とキリスト教関係

に分けて、トランクルームに本を移し、何れ処分するようにしたいと思っています。まだ心は揺れていま

すが。