なんちゃって牧師の日記

説教要旨と牧師という職業で日々感じることを日記にしてみました。

父北村雨垂とその作品(79)

 「父北村雨垂とその作品(79)」を掲載します。作品は昨日の(78)の続きです。

             父北村雨垂とその作品(79)

   = 幻想作品 =    川研 1978年(昭和53年)1月 337号より
     亜希子 抄(続き)

  
      川研 1978年(昭和53年)6月  342号

 尖塔の 亜希子の鳥に 四季の風

 風に舞う 亜希子 病(わくら)葉(ば) 無門の天

 神聖な 接吻(キッス)を月に 亜希子 浜風

 黒潮の亜希子 珊瑚の 息づかい

 媾曳(あいびき)の夜は 咆哮の 北風(きた) 熄まぬ


       川研 1978年(昭和53年)7月  343号

 さかしまに 亜希子 シラブル 天国 地獄

 亜希子 埴輪を ヘブル牡場の 重い 水

 亜希子 そのとき 幻想(ユメ)と 力(チカラ)を 水平に

 亜希子 カチオン 京都 舞妓と 大学教授

 亜希子 0型 ニーチェにアポロ 常春(きづ)藤(た)の血

      
       川研 1978年(昭和53年)8月  344号

 涅槃を 亜希子 ジャツラリを河蛙銀河にて

 あだまきの 幕屋に駆ける 亜希子の翼(はね)

 雲の歴史を 亜希子に綴る 丘の風車

 鈴虫に 炎えぬ カンナの 亜希子 にて

 面壁や 亜希子 掌中 無精卵

     
       川研 1978年(昭和53年)9月  345号

 母の膝(ひざ) 亜希子は母を 誰にも 遺らぬ

 亜希子 觀よ こころ 三十六度 ほど

 樹(くさ)茸(びら)や 亜希子 釋子に 香を焚く
 
 キリストは 天に 亜希子は 地に 墓標

    
       川研  1978年(昭和53年)10月  346号

 泳ぐ灯 亜希子瞼(まぶた)は 父の涙

 十字架も 数珠も 亜希子に 孤獨な 砂丘

 亜希子 分解 時計の鳩(はと)も 啼くこと なし

 山門の 蜘蛛の巣に 亜希子の翼(はね) あるのみ

 十字架を 亜希子は 胸に 大人(オトナ)の夢を

     
       川研  1978年(昭和53年)11月  347号

 黄昏(たそが)れて 森は 亜希子の 藁と 紙

 鬼灯に 亜希子におどる えくぼにて

 おにあざみ 長屋門から 亜希子の 猊

 亜希子 分裂 明日(あした)に運ぶ 確かな夢 

 風に舞う 病葉 亜希子 無門の天